蒸らしの時間

美味しい紅茶を淹れるポイントはいくつかありますが、茶葉を入れた
ポットにお湯を注いでからカップに注ぎ分けるまでの間「茶葉を蒸らす」・・・・
これは、紅茶の味・香り・色・成分を最大限引き出すためのとても重要な工程です。
紅茶の淹れ方を説明する文章には「蓋をして〇分蒸らします。」などとありますが、蒸らすことでどんな効果があるのか、はあまり書かれていないですよね。
今回は「茶葉を蒸らす工程の意味と効果」についてお伝えします。

1. 香りを最大限引き出す(揮発性香気成分の抽出)
紅茶の茶葉には「リナロール」「ゲラニオール」などの揮発性の香り成分が含まれており、お湯を注いで一定時間蒸らすことでこれらの香りがゆっくり立ち上がってきます。
特にダージリンやアールグレイなど「香りが命」の紅茶は蒸らしで決まります。

2.旨味・コク・渋みがバランス良く抽出される
  紅茶に含まれるポリフェノール(タンニン)やアミノ酸類は、温度と
時間によってじっくりと溶け出していきます。
蒸らし時間が短いと味が薄く物足りない味に、長いと渋みや苦味が強くなりすぎてしまいます。
蒸らし時間が適切(通常3~5分)だと、甘み・渋み・コクが絶妙な美味しい紅茶になります。

3.色の美しさと透明感が出る
紅茶の茶褐色の水色は、カテキンが酸化して生まれる「テアフラビン」「テアルビジン」によるものです。
蒸らし不足だと色が薄く青みがかったような水色になります。

4.健康成分も効果的に抽出される
  蒸らすことで以下のような紅茶の成分もバランス良く抽出されます。
  ・カフェイン(覚醒、利尿作用)
  ・テアフラビン(抗酸化作用、殺菌効果)
  ・アミノ酸類(甘み、リラックス効果)

「蒸らす」という工程は、紅茶の香り、味、色、成分の全てを引き出す
【開花の時間】です。
ぜひ、ポットの中で広がる茶葉の様子や香りの変化に意識を向けてみて
ください。
一杯の紅茶の中にある時間の豊かさを味わってみてくださいね。

Murasi